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横を見れば同型機が全く同じ体制のまま射出を待っている。
それは別に良いんだが、問題はその機体に乗っている馬鹿だ。
……腕をブンブン回している。
御幸(みゆき)はそれを見ると、即座に操縦プログラムを変更する。
変更した瞬間、コックピット内が暗くなる。
変更したプログラムはレーダー戦用プログラム。
このプログラムは有視界戦が不能になった際のために使うのだが、このプログラムを使うと、コックピットを覆っている防風ガラスが黒くなり、視界がゼロになる。
御幸はこのシステムを利用したわけだ。
『……何してんですか? まさか遊んでる訳じゃあ――』
御幸は最後まで聞かずに強制的に無線を封鎖する。
「(……隊長ってのはこういう時に使えるよな)」
そう呟くと点滅しているディスプレイを見る。
そこには接続完了を伝える旨が表示されていた。
要は『さっさと出撃しろ』ということだ。
御幸はそれを見ると、現在時刻を確認。
プログラムを有視界戦用へシフトし、無線封鎖を解除する。
「こちらスカイウォーカー隊隊長御幸、これより行方不明機捜索へ出撃する。許可されたし」
『こちら司令部、出撃許可します、あと、司令より「後で覚悟しとけよクソガキ」とのことですがよろしいですか?』
「構わない、無視しとけ」
無線の向こうで少し笑った様な声が聞こえる。
『では、射出します』
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