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行方不明機捜索というのは、単なる嫌がらせなんじゃないかと御幸(みゆき)は思った。
眼下に広がるは、朝日を乱反射させて光り輝く海。
しかし実際は、むさ苦しいオッサンやふざけた部下と、空中でランデブーだ……やる気も削げて当然であろう。
しかも、特に何も見つからず、似た様な場所(どの道海だが)をぐるぐる回っているのも手伝っている。
『御幸~、俺もう帰って良いかな?』
痺れを切らした庵(いおり)が、個別回線で愚痴ってくる。
「お前は馬鹿か、そんなに暇なら今すぐ撃墜してやろう」
『なはは、冗談冗談……って御幸!! 本当にやっ……止めてェ!!』
グワングワンと両翼を揺らしまくる庵の機体。しかし、御幸はそんな庵を目だけで追いながらため息をつく。
御幸にとって庵よりも一番面倒臭いのは、現在進行系で愚痴っている府川(ふかわ)の存在である。
『……全く、こんなガキ共とこの俺が何故一緒に飛ばなきゃならんのだ……』
通信切って愚痴れよ、と心の中で突っ込む御幸であったが、わざわざ言う気にもならない。
なので、御幸が大人気ない大人に言える言葉はただ一つ。
「いや、まぁ、きっと見つかりますよ……いつになるか判りませんが」
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