序章『スカイウォーカー』

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(……現代戦闘は本当につまらない) 戦いの中、最新鋭の鋼鉄の塊『Walker』のコックピット内で、心からそう思う少年が居た。 大昔の映像で見た空中戦は、機銃を攻撃手段とした血沸き肉踊る接近戦が主流だった筈だ。 それが今では、レーダーで敵を捉え、トリガーを引けばほぼ間違い無く敵機を落とせる。 逆に言えば、こちらもそうとも言えるが。 海上の機動艦隊からのコンピューター制御された対空砲火は、確実にこちらの翼やコックピットを撃ち抜きに来るだろう。 まぁ、それは相手がUAVなどの無人機なら、の話しだが。 有人機に対しては、対空砲を当てるのはなかなか難しい。 どれだけレーダー類で先読みしようとも、結局撃ち抜けるのは一択だけ。 その相手が『Walker』であれば尚更。 防風ガラス越しに見れば、先程まで編隊を組んでいた他の機体は全て視界から消えている。 各自、思い思いの方向へ散ったのだろう。 無線封鎖を掛けた時点で、コンビネーションでの戦闘はほぼ不可能となった。 仮に多対一の状況になれば、確実に落とされるだろう。 それが普通の機体なら、だが。
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