序章『スカイウォーカー』

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だがその光景も、すぐに後ろへ流れて行ってしまった。 代わりに無骨さを全て取り払った様な、非常にスリムな機体が二機、正面に現れる。 レーダーに映っていた敵機だ。 瞬間、互いにコックピットの中のパイロットの顔さえ視認出来た。 それ程近距離に、敵は居た。 実際彼には、『Walker』の加速に驚愕する敵の顔が一瞬見えたかもしれない。 だが、そんな間など、刹那もあったかどうか。 「……サイトに捉らえてトリガー……」 互いに反対方向から飛んで来た機体は、一瞬交差し、また離れて行く。 旋回には時間がかかる。 それは、スピードを上げれば上げる程言える事だ。 故に敵パイロットは考えるだろう。 あのスピードでは、旋回速度はこちらの方が早い、と。 だが、それも普通の戦闘機ならの話だ。 この機体に常識は通じない。
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