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遠くで小さな、だが確実に一人は死んだ筈の爆発が見えた。
もう一方の敵機だろう。
大方、即撃墜は免れたが、致命的なダメージを受け、火でも回ったのか、エンジンが爆発したのだろう。
パラシュートは確認出来ない。
生き残りは認められない。
一度レーダーを見、そして呟く。
冷たい、冷静な声で。
「敵機撃破」
再び編隊を組み、飛び去る頃には、海上に展開していた筈の空母を含む強襲機動艦隊は全て、海の藻屑と化していた。
――彼は何と無く、海上でゴムボートに群がり、必死に助けを待っている乗組員達のうめき声を、聴いた様な気がした。
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