MONOTONE

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今日は家族で登山に来ていた。 久しぶりの一家団欒で、僕は普段家族とは出掛けなかったから楽しみだった 何より共働きなので、父と母がそろうのは久しぶりだった 頂上付近でトイレがしたくなった僕は、仕方なくその辺ですることにした。 が、道がわからなくなり、迷った挙げ句に霧が出てきてお先真っ白ときた。 急に不安になる とりあえず早く合流しなければ しばらく歩いていると、後ろから荒い息使いがした ゆっくり振り向くと、そこにいたのは巨大な犬だった 顔が3つあり、青い大きな目が僕を写していた 本能的に思った 逃げなければ死ぬ 「…あ…うわぁぁぁ!!」 僕は持てる力を全て足に注ぎ、逃げた 「はぁ、はぁ」 脚はあまり早く無いみたいだが、さすがに疲れた ―息がもたない…。…食われるっ その時、霧の中に建物の影が見えた 「!家?」 幻想か、現実か、かけるしかなかった そこまで持てる力の全力を注いで走る。 門の前まで着くと、膝に手を当てて息を整えた 気がつくと、化け犬ももういなかった 「…大きい家だな」 鉄柵の門が、4、5mはあるだろう 外壁はそれより大きく、まるでお城だ ―インターフォンがない 「あのーっ!誰かいませんかーっ」 僕は藁をも掴む思いで叫んだ
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