【白い部屋】

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ふと、何か変な気がした。 ドアとボールが当たった壁の距離が、5メートルくらい。 しかし、横幅の壁は、10メートルはあろうかと思う程広かった。 奥行きと、横幅の距離があまりにも違っていた。 普通に考えれば、なんて事はない。 しかし、彼は気になったのか、座りながら、ボーッと奥行きの壁を眺めていた。 すると、急にハッとした。 慌ててロープを取り、おもむろにロープの端を伸ばし、壁に投げた。 「バシッ」という当たったら痛そうな音が響く。 今度は、さっきより高い位置にロープの端を投げ当てた。 そして、次はもっと上の位置に。 すると、ロープは壁にスゥッと吸い込まれていった。 『やっぱりだ!この壁は、行き止まりじゃなかったんだ!』 彼がボーッと壁を眺めていたのは無駄ではなかった。 壁と天井の間に、隙間らしきものがボンヤリ見えたのだ。 『真っ白だから分かりにくかったけど…このヤロウ』 一瞬、顔がゆるみ、口元が少しニヤケていた。 『でも、これじゃあ…』 ロープの端を引っ張ると、さっき投げたロープの端がスルリと壁と天井の間から滑り落ちてきた。 『…無理か』
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