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一気に血の気が引いた。
まさか…向こう側は断崖絶壁…。
いや、あり得る。こんなふざけた所なら、向こう側がどんなになっていようが不思議ではない。
しかし、こんな所に居ては、気がおかしくなり、その後には餓死しか待っていない。
オレは、両手に全ての力を入れ、ロープを必死にたぐり寄せながら壁を登った。
幸い、裸足が上手い具合にツルツルの滑らかな壁を物ともしなかった。
高さは、3メートル程だったが、実際にテレビや漫画でやっている程、上手くはいかない。
自分の身長程の高さで、既に限界に近かった。
しかし、何とか最後に壁を一蹴りし、右手が壁の上に届いた。
『………っはぁーーー!!死ぬかと思った!!』
そして、向こう側に落ちない様に、慎重に壁の上へよじ登った。
そして、恐る恐る下を見た。
『……えっ!?』
さっきのボールが、普通に地面に落ちていた。
訳が分からず、本当にさっきのボールか確かめようと、ほんの少しだけ顔をやった時。
「ドンッ!!」
ひどく低い音が、自分の半径1メートル程度の所だけに響いた。
バランスを崩し、落ちたのだ。
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