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『お前は片山光一だな?』
男から、いきなり出た言葉。それは、紛れもないオレの名前…。
『あぁ…』
予想外の急なセリフに、考える暇もなく自ら認める返答をしてしまった。
『やはり…お前が光一…』
オレは、確かにこの男を知らない。見た事が無い。
第一、こんな白髪頭を忘れる訳がない。
どんなに頭の中にある記憶という引き出しを開けてみても、この男に関する情報は何一つ無かった。
しかし、相手は自分を知っている。
『お前、誰だよ?何勝手に人の部屋ん中に入って来てんだ』
ほんの少し前に目覚めてから、一度に大量の謎が頭の中になだれ込み、何を質問して良いのかも出てこない。
『光一…いきなりで悪いのだが、言わなければならない事がある。心して聞け』
いきなり人の部屋に上がり込み、その上、まだおれの頭の中に厄介な謎を埋め込む気か。
『おい、アンタは一体…』
言いかけた時だった。
『お前は、近い内に殺される』
光一の頭の中に、さっきまでの全ての謎を一気に砕け散らせてしまう程の言葉が突き刺さった。
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