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『おいおい、いっぺんに喋り過ぎだぞ』
男は、両の手の平を軽く上げ、光一の方に向けながら困った顔を見せた。
『だが、まぁイイ。答えてやろう』
遂に、全ての謎が解ける。そして返答の内容によっては、この男の素性も分かるかもしれない。
『全ては、お前の為だ』
全く、何一つ分からなかった。
『おい!それじゃ、答えになってないだろう!』
光一は右手に力を込め、今にも殴らんとする格好で、ギュッと握り固めた拳を肩の高さに構えた。
『落ち着け、ちゃんと教えてやる』
『本当だろうな?』
男の返答に、光一は上げた右手を下ろした。
『おそらく、近い内にお前を殺しにやって来る者がいる』
『それは、さっき聞いた。誰が殺しに来るんだ…』
光一は、今までに自分が誰かに恨みを買っていないか考えてみた。が、殺される程の恨みを買った覚えはない。
人畜無害。自分から他人に喧嘩を売るような事も一切なく、平々凡々と暮らして来たのだ。
それどころか、光一はスポーツ以外は普通ではあるが、いつも皆に優しく明るい性格の為、人気すらあったのだ。
しかし、そんな彼を殺しにやって来る者が居るという。
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