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「ピピピピピピピピ!!」
枕元で目覚まし時計が電子音を鳴らしている。
光一は、目覚まし時計のスイッチを切り、ゆっくりと起き上がった。
しばらくボーッとして考える。
昨日の出来事を。
『……夢……』
そうやって、自分の頭に現実ではなかったと。そう思わせるしかなかった。
しかし残念な事に。現実は光一を離さなかった。
『痛っ!』
ベッドから体を出そうと手を付いた時、左手を激痛が襲った。
『アザ?………あっ。』
思い出した。
昨日、真っ白い変な部屋の壁によじ登り、落ちて左手を打っていた事。
あれは、夢ではなかった…?
体が動きにくい。寝覚めが良くないのか。
光一は、ふと自分の姿を見る。学生服だ。普段、家ではスウェット等の楽なズボンに簡単なシャツを着るといったスタイルだ。そして、それがそのまま寝間着となる。
と、いう事は、昨日の出来事はやはり現実だったのか。
もしそうだとすると、部屋を出ようと、このドアを開けてしまうと、またあの真っ白な部屋へ出てしまうのでは。
光一は、少しだけドアを開けて覗いてみた。
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