【終わりの始まり】

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何もない。ただの廊下だ。 いつもの見慣れた廊下。毎日毎日見ている。 光一は、すでに完全に目が覚めていた。 廊下に出て、階段を降りていく。 キッチンへ行くと、見慣れた顔があった。父と母だ。 『おう光一、おはよう。今日は早いな』 父が、広げた新聞越しに言ってくる。 『あら、おはよう。どうしたの。珍しく早起きね』 父の朝食をお盆に乗せ、それを運びながら母が言ってくる。 自分が早起きした事以外は、いつもの光景だ。 学校へ登校する途中、色々考えた。昨日の、あの男の言葉が何度も何度も自分の頭の中に語りかけてくる。 『オレを、もう1人のオレが殺しに来る…』 そう呟きながら、左手のアザを見ていた。
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