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『………皆、すまん』
『謝るな、光一。何か訳があったんだろ?』
『………』
光一は、慎一の言葉に返事をしなかった。
『光一、隠すなよ。法子だけじゃない。俺も篤も、そこの陰からお前達の会話を聞いていた』
『………』
光一は、もはや隠し通せるとは思わなかった。
しかし、こんな馬鹿げた話を親友にするべきか迷っていた。
『……光一。お前が言わないのなら、そっちの奴に聞くが…良いな?』
慎一が、男を見て言った。
『……分かったよ。とりあえず、こんな所で話すような事じゃない。皆でオレの家へ行こう』
光一は観念した。
『ところでよ…。そいつ、誰?』
篤が、男を指差して言った。
『オレも知らないんだ』
光一は、男を睨みながら言った。
『お前…オレの事を知っていたみたいだったよな。お前の名前を教えろ。お前だけオレの情報を持っているなんて卑怯だろ』
男は腰に軽く手を当てた。
『やれやれ。一体、何が卑怯なんだかな…。まぁいい。オレの名前は【矢嶋】(やしま)と呼べ』
(…こいつ、何か感に触るな)
光一と慎一は、同じ事を思っていた。
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