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胸のポケットから銀色に光るケースを取り出すと、同じポケットから、今度は金色のライターを取り出した。
ケースは、煙草の入ったシガーケースだった。
煙草に火を着けて歩きだす。
『矢嶋!お前、煙草なんて吸ってるのか!?』
光一が、大袈裟に煙草の煙を嫌う様に、手で煙を払う動作をした。
『17で煙を吸ったからといって、死ぬ訳じゃないさ』
矢嶋は、火の着いた煙草で光一を指差す様にして言った。
『お前、17か!?…おれ達と同い年じゃないか!』
『それがどうした?』
矢嶋は、光一に冷たく一言で返した。
『矢嶋って言ったな。見た感じお前は、学校へは行っていない様に見えるが…』
慎一は、矢嶋を怪しい奴だと意識していた。
しかし、それも無理はない。
自分達と同い年で、本来なら高校二年生だ。
根元から真っ白い髪。それだけでも十分に目立つ。
それが、黒いスーツ姿に、派手なライターでシガーケースから取り出した煙草に火を着ける。
そう。まるで「カタギ」には見えなかった。
『学校…?一応、学校で習う事は家庭教師から習っている。行く必要は無い』
矢嶋というこの男。何か謎が多いようだ。
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