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――悠哉へ。
慶治さんと新婚旅行に行ってきます。
もう子供じゃないんだから大丈夫よね?
しっかりしたお姉さんたちもいるし。
引越しの荷物は明日届くようにしてあります。
転校の手続きもすましてあります。
あんまり迷惑かけちゃだめよ?
体、壊さないようにね。
行ってきます。
追伸
女の子が一緒だからって、変な気を起さないでください。
母より。
悠哉
「なんじゃこりゃあああ!?」
まずどこだ、どこにつっこめばいい!?
悠哉
「うわわわわわっ!」
パニックになる頭の中で、必死に体を動かす。
そして俺は、携帯電話の着信履歴一番上の男に電話をかけたんだ。
プルルル
翔
『おう。なんだ今日は』
今度は1コール。
暇なのかな…こいつ。
翔
『そんなに俺が恋しいか。
だったら今から家来いよ、俺の彼女を紹介してやる』
悠哉
「そういうのいいから。
ていうか、今それどころじゃないんだ」
翔
『なんだよ連れないやつだな。
まあいい、明日学校でたっぷり教えてやるわ』
悠哉
「残念だが、それはできない、と思う」
翔
『あ? なんでだよ』
悠哉
「その…なんか…だな、転校……」
翔
『あー! 転校な! なんだお前知ってたのか』
悠哉
「え…?」
ということは、母さんはもうみんなに伝えといてくれたのか…?
翔
『転校生だろ? 来たんだよ帰国子女!
ハーフのツンデレだぜ!!
この娘がまた厄介なんだよ。近づく別れが辛くなるからってわざと冷たく当たるんだ。可愛いだろ?』
悠哉
「は?」
なんなのこいつ。
翔
『可愛すぎるっ!!!
だが俺には双子の姉がああああっ!
しかしこのおませな幼なじみの妹も捨てがたいいいいどうしたらいい!?
俺はどうしたらいいんだ!!?』
悠哉
「……ごめん切るね」
翔
『な、なにいいい!?
お前は真剣に悩んでいる親友をそんな粗末n』
悠哉
「はあ…」
なんで俺こいつなんかに電話したんだろ。
ものすごい時間の無駄だったような気がする。
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