プロローグ

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    春菜 「……やさ」 秋穂 「優しいんだね」 悠哉 「え? そ、そんなことないよ」 春菜 「セリフ取られたよ!!」 悠哉 「そ、それにさ、母さんがいなくなったくらいで泣きわめくのも恥ずかしいだろ? お、男として!」 秋穂 「そんなことないと思うけどなー」 悠哉 「男っていうのはそういうもんなの。 女の子の前ではかっこいい存在でいたいのよ」 秋穂 「ほうほう。ということは今、 ぼくたちの前でかっこよくいれてる自信がある……と」 悠哉 「………聞かないでください」 もしかして秋穂ちゃんて、結構Sっ気がある娘なのかもしれない。 春菜 「か、かっこいいと思うよ!」 悠哉 「やめてぇ! 同情みたいに言わないでぇ!」 涙が出ちゃう!! 悠哉 「んー、しかし……まいったな…」 転校…か。 これが一番ショックなことかもしれない。 今の学校で、仲のいい友達も結構できた。それをチャラにするのがもったいない。 いや、転校したからといって友達じゃなくなるわけでもないし、それに行けない距離ではない。 けどしょっちゅう通うとなると、出費が大変なことになる…。 でも、俺を一番不安にさせるのは、新しい学校で、うまくやれるか…だよなぁ。 もともと人と接するのがそんなに得意な方ではないし、面白い話もできない。 そもそも自分から話しかけるっていうのが、できないんだよな。俺。 悠哉 「ていうか新しい学校名くらい書いてけよ…」 手続きをしてくれたのはとてもありがたいが、どこに行けばいいの? どうやって行けばいいの? わからないことだらけだよ…。 秋穂 「あーははは…。 適当なところとか、うちのお父さんとちょっと似てるかも…」 悠哉 「だからきっと惹かれ合ったんだと思う」 春菜 「えっと、荷物の中とかに、資料とか入ってるんじゃないかな…?」 悠哉 「ああ…なるほど。 となると明日にならないとなにも進まない」 秋穂 「だねぇ。ま、今日はゆっくりしようよ! いっぱいお話とかしてさ」 春菜 「うんっ、そうだね」 悠哉 「う…うん…」 やべぇぞ。俺、幸せすぎる。 どこかの画面の中の女の子を攻略してる親友なんかよりずっと幸せだ。 秋穂 「そうと決まれば! まずは部屋の案内だね」 春菜 「そうだね。わからないと困るもんね」 悠哉 「助かります…」  
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