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長い付き合いの恭平は、後ろに立って顔が見えなくてもそんなニックの苛立ちを察したのだろう。
八つ当たりを防ぐためか急いでスピーカーに向かって声をかけた。
「で、アンナさん。今度はどのドアから行けばいいですか?」
ドア、と言えば彼ら二人がいる場所は少々特殊であった。
長い廊下に同じつくりのドアがずらりと並んでいる。
そのドアには各々、映画館の座席番号の様なアルファベットと数字が割り振られていた。
『んー、AA13で』
恭平の問いに少し間を置いて、女の声が返ってくる。
その返事を聞いて、これでもかと言う位にニックの表情が険しくなる。
「だぁぁぁ! AAって事はうちの学校関係じゃねぇか!! 管理くらいちゃんとしとけ!!」
怒鳴りながら走りだすニック。
恭平もため息をつくと追いかけて走りだした。
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