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ニックと恭平がアンナの言葉を受けて駆けだした頃、一人の少女が得体の知れない化け物に追い詰められていた。
“ソレ”は真っ黒な体に大きな口。
猿が大型化したような体躯に異常に長い爪。
何より暗闇でぎょろりと光る目玉が背筋をぞくりとさせる。
今は背を向けているが明らかに自分を狙っている“ソレ”に少女は怯えながら後ずさりをし、とうとう壁際まで追い詰められていた。
ゆっくりと少女の方へ振り返る化け物。
振り返りしっかり自分を視界に捉えたら、確実に襲いかかってくるであろうことは本能的にわかるのに、少女は動けない。
壁に背を預け、ただその動きを目で追う。
“ソレ”が少女の方を向き、襲いかかろうと動いた時だった。
破壊音と共に、少女のすぐ脇のドアが吹っ飛び“ソレ”に直撃した。
「ニック!! 落ち着け!!」
破壊されたドアから出てきたのは、ニックと恭平。
どうやらニックが苛立ちをそのままドアにぶつけ、ふっ飛ばしたらしい。
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