- 〇△一郎誕生 -

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「患者さん一人一人にケースワーカーの方が担当に就きます。 生保の申請手続きや患者さんの悩みや不安を聞いてくれる人なので何か相談などありましたら、遠慮無くお話下さい。」 これまた知らない職業、知らないシステムだ。 確かに、そういう人がいれば患者さんにとっては色々と心強い存在と言える。 「今日から入院となる訳ですが、お呼びする際に名前が無いと何かと不便ですので、入院中の間「仮」ですが名前を付けたいと思います。 何か、ご希望の名前はありますか?」 確かに、入院にあたって名前が無いのは不便だ。 仮の名前を付けるというのはもっともな話である。 …が「ご希望の名前は?」と聞かれて即答出来るヤツはそうはいないだろう。 「いえ、特に無いです。」 坂本龍馬やミハエル・シューマッハでも良いのだろうが、明らかに俺は龍馬でも無ければ、シューマッハって顔でも無い。 記憶喪失の人間がふざけていると思われても嫌なので無いと答えた。 「では…〇△村で保護されたので〇△一郎さんというお名前でよろしいですか?」 ……見事なネーミングセンス笑うしかない みずほ銀行の「みずほ太郎」なみのセンスだ。 まぁ、仮の名前にそんな多くを望んじゃいけない。 「ええ、それで良いです。宜しくお願いします。」 どうでも良い。と言えば乱暴に聞こえるかもしれないが、正直どうでも良かった。 あくまで仮の名前だし …と思っていたのだが、「〇△一郎」とは予想以上の付き合いになる事になった。
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