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「まさか兵隊さんがきて起こしちゃうとは思わなかったよ。村のおじいちゃん達には大人しかったんだよぉ?」
まるで危機感がない口調にテムカの眉の端が上がるのをマオは見逃さなかった。
「…麻酔で寝かてるけど、そこの目付き悪い君の粗雑な殺気のせいでまた暴れちゃうかもよ?」
粗雑と言われ、テムカの眉が更に上がる。
自分と同い年の上司はイライラすると質が悪い。マオは長年の付き合いで知っていた。
「先程も申しましたが、こちらの方はム・テムカ。私はキャトリーヌ・アンヌ・マオです。」
改めて自己紹介をするが、アードベックは治療中の腕から視線を外す事なく素っ気無い返事をし、そしてテムカは聞こえる様に舌打ちをした。
(もう帰りたい…)
マイペースな二人にマオは心の底から思った。
「で、僕らはどうなんの?」
治療を終え、青い液体を飲みほしがらアードベックは言った。
「そうですね。差し当たって我が軍に害はなさそうなのですが、一応その獣避けを見せてもらえますか?」
腕を組み、だんまりを決め込んだ上司に代わりマオが進行をする。
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