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マオが受け取った呪符は、光と刺激臭を発するだけの一般的な物だった。
「えぇ。何も問題ありません。…それと、ジコンちゃんの事は、申し訳ありませんでした。」
呪符を返し、改めて見るジコンの寝顔は普通の子供同様、無邪気なものだった。
マオの目に写った獣…、彼女はそれを己の恐怖心からくる錯覚だと決めた。
(まだ小さいのに…、何かとても辛い経験をして暴れたんだ…。)
赤くなった顎を見て、思い切り殴ってしまった事を心の中で再度謝った。
「ぅぅぅ……」
眠ったまま顔をしかめる。
(悪い夢でも見ているのかしら…)
そう思った時、マオはうなじの毛が逆立つような感じを覚えた。
「テムカ様…」
不機嫌なままの上司に警戒を促すと、すぐに状況を把握した彼は素早く立ち上がり、壁に貼り付く形で扉の隙間から外を確認する。
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