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アードベックと名乗った男は、得体の知れない青い飲み物を一人で飲みつつ腕の傷を治療している。
歳は30前後だろう。背が高く筋肉質な体付きだが、不健康そうな青白い顔と伸ばしっぱなしの髪、黒縁のメガネがアンバランスだ。
「それで…あの子は…?」
マオは困惑していた。
いきなり飛び掛かり自分を殺そうとし、飛び込んできたアードベックに傷を負わせた相手。
マオの目には確かに4つ足の獣にうつった、それが…
「くぅ…」
無防備に眠りこけるそれは、どう見ても10歳くらいの人間の子供だ。
「それはねぇ、僕が拾った子。ちょっと敏感でヤンチャなんだ。」
顔も上げず、腕に包帯を巻きながら彼は続ける。
彼は戦地に巻込まれた隣り村の医者だと言った。
避難中に森の中で怪我を子供(名前はジコンと名付けたらしい)を見つけ、この村で治療をしているらしい。
確認された光はその時に使った森の獣を退けるために彼が作った実験薬だそうだ。
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