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「おい。N-3702!前へ出ろ!」
コンクリートむき出しの、暗く狭い空間。
通常、2人くらいで生活するのが限界であろう広さに、10人くらいの男女が、無造作に詰め込まれていた。
窓は無く、その空間の唯一の出入口は、鋼鉄でできた冷たく、分厚い扉だけだ。
その扉が開かれ、兵士のような格好をした武装した男が、声を荒々しく張り上げる。
少女が1人、ゆっくりと人の塊から抜け出てきた。
顔に表情は無く、喜怒哀楽が欠落してしまっている。
くっきりとした二重、細やかで長い睫毛、大きな瞳。
筋の通った控えめで綺麗な鼻。
厚すぎず、それでいて薄くもなく、調度いい膨らみの唇。
そんな端正な顔立ちが、その無表情を一層際立たせている。
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