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髪は肩の辺りでザックリと切り揃えられている。
体は、一枚の布で覆われているが、その布は所々引き裂かれたような後があり、彼女の【日常】が悲惨なものであることが伺える。
この密室に男と女が押し込められているのだ。何かあってもおかしくはない。
周りを見渡せば、7割が男だ。
彼女の右手の甲には、《N-3702》と刻印されていた。
兵士らしき男は、少女に銃を突き付ける。
「喜べ。お前は選ばれたのだ。さっさと出ろ!」
銃の先で背中を押されながら、少女はこの狭く暗い空間の外へと3年ぶりに足を進めた。
外に出ると、左右に延々と一本の無機質な通路が続いている。
壁には同じような分厚い鋼鉄の扉が、等間隔で並んでおり、各扉から女性の悲鳴や、男性の叫び声が響いている。
「歩け。」
武装した男に促されるまま、少女は足を進めた。
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