兄弟

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由利は皿を洗っていた。 ふいに学校の事を思い出す。 (皆どうしてるかな…。私、これからどうしよう…) 学校をサボってここで働いている事は誰も知らない。あくまでも知っているのは新二と浩一だけだ。 皿を洗い終わり、洗剤のついた手を洗う。由利は今のこの状態を気に入っていた。親から何も言われず、面倒な事から逃げる事が出来て、喫茶店を手伝える事がとても楽しい。でも、心の中では迷っている。 「何ボーッとしてるんだよ。」 タバコを吸い終えた浩一が戻って来た。 「お前、新二にでも惚れたのか?」 「え…、ちがいますよ!」 「お前と新二何か良い感じだと思ったんだがなぁ」 「…、言わないで下さいよ…。新二さんが好きです…。」 「やっぱりな!」 (なんで浩一さんに言っちゃったんだろう…。恥ずかしい…) 「俺が手伝ってやるよ!お前と新二くっつけるの。」 「ありがとうございます…。」 浩一のテンションについていけない…。由利は顔を真っ赤にしながら浩一の話を聞いていた。 「今から色目使って新二起こしてこい。アイツあんま女に免疫ないからお前ならいけるぞ!」 「で、でも…」 「とにかく行ってこい、腹減ったから。」 「はい…」 半ば強引に新二の元へ行かされた。階段を上がりながら、何をすべきか考えて、顔をさらに赤くした。
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