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新二の部屋の前まで来たところで、緊張が始まった。心臓が暴れ、足も震えている…
コンコン、とドアをノックした。が、返事はない。震える足を抑えながら、ドアノブに手をまわしドアを開けた。
そこには、気持ち良さそうに寝ている新二の姿があった。由利は新二に近づいていく。近づくにつれて更に心臓が暴れ、音が漏れるのではないかと思う程だ。
(こんなに近づいても起きないの…?)
由利は新二の寝ている顔を見つめた。
「キスしちゃお…」
小声で呟いた。
もはや意識がないのか分からないくらい、自分の体が勝手に動く。恥ずかしいことも何故か出来てしまう…。
由利は不安と緊張と何とも言えない感情が混じりながら、顔を近づけていき、鼻と鼻が触れ顔を傾けて唇を合わせた。
約20秒続けて、顔を遠ざけた。
それでもまだ新二は寝ている…。
(これ以上なにを…すれば…)
頭の中では駄目なことばかり浮かぶ。取りあえず、新二に身を寄せた。新二の心臓も動いていて、リズムをとっていた。由利は目をつぶり、「起きて…」と新二の耳元で呟いた。
新二は目を開けた。最初は、面倒臭そうな顔をしていたが、状況を見て目を見開いた。
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