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「ゆ、由利!?」
いつも冷静な新二が取り乱している。
「何、新二さん…?」
「え、おい。何してた…!?」
「新二さんを起こしに来たの。なかなか起きなかったから…」
「…」
新二は絶句した。由利が新二に抱きついていた。何のためらいもなく、いかにも不思議そうな顔で由利は見ている。
「お前ら何やってんだよー!」
不意に浩一の大声を聞いて由利は正気に戻る。同時に恥ずかしさが込み上がってくる。
「す、すいません…。」
「お、俺はなんにもやってないって兄貴!」
「ふーん仲良いなお前ら、付き合っちゃえよ。」
「だから俺は好きじゃないって…」
空気が凍ったような気がした。浩一は口を開けたままだ。一方由利の目からは涙が流れていた。
新二には数秒間わからなかったが由利の顔を見て気付いた。
「やっぱり…そうだよね…。私なんかが新二さんには釣り合わない…よね…」
「待てよ!俺は…」
新二の言葉を無視して由利は部屋を出ていった。
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