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「由利の奴、意地っ張りだな案外。」
「兄貴、俺はどうすればいいんだろう…」
「自分で考えるしかないぞ、それは。」
「俺だってアイツの事…」
新二はそう言ってため息をついた。
「お前も由利の事好きなんだろ?」
「あぁ…」
「だけど、すれ違ってる。お前は受け身過ぎんだよ。だからもっと…」
突然、入り口のドアの鈴が鳴る。すると、夫婦らしき二人組が入ってくる。
「いらっしゃいませ。」
「ちょっとお尋ねしたいのですが…」
「はい…?」
兄弟二人は不思議そうな顔をした。
「まぁ、立ち話も難なんで座って下さい。」
と浩一がテーブル席に案内する。新二はコーヒーを沸かし、二人に差し出した。
「私は佐藤浩一です。隣が弟の新二です。それで、ご用件の方は…?」
「ここに女子高生は来てませんか?歳が16の。」
「もしかして由利さんの…?」
「私は由利の父親の大樹です。これが母親の美紀です。娘を引き取りに来ました。」
突然の由利の両親の来訪に二人は困惑した。
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