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「あの子、つい昨日学校を無断欠席して家出したんです。今までこんな事無かったのに…」
「はい、その話はご本人からお聞きしました。」
浩一はいつもの不良のような口調ではなく、改まった言葉を使っていた。
「何があったのですか?」
「その前に昨日はあの娘、ここに泊まったんですか?」
「あぁ、はい。カウンターで彼女寝てました。」
「娘がご迷惑お掛けしてすいませんでした。これ少ないですが受け取って下さい。」
父親の方がそう言って、浩一は封筒を渡された。封筒は分厚く、少なくとも10万円は入っていた。
「受け取れません。ここは宿じゃありません。」
「いえいえ、私どものせめてもの気持ちですよ。」
「申し訳ないですがお金はお返しします。それより本題の方を…」
と浩一は由利の両親に返した。
「言い方が悪いかもしれませんが娘を返してください。」
「はい、ですが本人は戻りたくないと…」
「娘はどこなの!?」
母親の方が口を開いた。
「今、上で休憩しています。先程までバイトしてたので…」
「バイト!?何で勝手に…」
「本人がやらせて欲しいと言っていましたので…」
「そんな事を聞きたいんじゃない!第一、娘の高校はバイト禁止なんですよ!こんな事がバレたら…!」
由利の両親は怒り、大声を上げた。
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