プロローグ

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親と喧嘩した。 「お前なんて要らない、この家から出ていけ!」 そう言われて少女は家を飛び出した。 何分か走り公園のところで息が切れた。夜の公園は暗くひんやりとしていた。少女はベンチを見つけ、座り込んだ。今更になって後悔しても遅いことは分かっているのに… 涙が少女の目からこぼれた。 少女は勉強も出来るし、炊事洗濯、体力も人並みにある。だから、一人でも生きられると思っていた。(でもいざというとき動くこともできないなんて…) 今から家に戻ることなんて出来ない。少女は流れる涙を止め、ベンチから離れた。 (どこか泊まれる場所を探そう) 公園の時計は10時を示している。この近くにはネットカフェはないし、ホテルもない。それ以前に少女の所持金は9000円しかなかった。通帳は机の中にあり、取りにいけない。 ため息をつき、公園を出た。 すぐ目の前に喫茶店があった。古めかしい店の看板に綺麗にみがかれた階段の先に木の扉があり、まだ「open」と掛けてあった。少女はその喫茶店で休むことにした。 扉を開けると取り付けてあった鈴が鳴った。 「いらっしゃい」 と20歳くらいの店員の男が言った。身長は180くらいでまるでアイドルのような顔立ちにエプロンを肩から下げている。少し不機嫌そうな様子が気になったが、注文を聞かれホットコーヒーを頼んだ。
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