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新二が由利を解放しながら言った。
「由利、すまなかった…。俺がしっかり付いていれば…。」
「新二、は…悪くない、よ…。」
「あんまり無理しなくていい…。お前いつもこんな…」
由利は涙を流しながらゆっくり頷いた。
「親にも友達にも言えずにこんな…?っ…」
新二の中で自己嫌悪と怒りと説明出来ないような何かが動いた。
「由利がこんなに苦しんでるのに俺は…!」
やるせない、それだけでは表せない。
新二は由利を抱え上げた。柔らかくて軽いこの体に、あれだけの暴力が掛かっていたのだろうか。
途切れそうな息をしている由利を見た。顔を涙で濡らし、着ていた服も汚れていた。
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