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「ご、ご注文は…何になさいますか…?」
「じゃあチーズケーキとミルクティーをお願い。」
「は、はい…承りました…。」
「由利ちゃんだっけ、貴女可愛いわね。」
と女性はしゃがんでいる由利の頭を撫でた。
由利は恥ずかしそうに新二に注文を伝えに行き、トイレに駆け込んだ。
(なんか恥ずかしいのか嬉しいのか分かんない…。)
店の奥へ駆け込むそんな由利の姿を見て、女性は嬉しそうに笑う。
「青春っていいわね…。」
「あんま由利を弄んないであげてくださいよ、大川さん…」
「あはは、いいじゃないの。」
「由利の奴どうしたんですかね」
「もう貴方も鈍感なんだからー」
「そうですか?」
と由利が居ない間にも会話が進んでいた。
数分して、落ち着いた由利が出てきた。
「お前仕事サボんなよ…」
「すいません…!」
新二は笑いながら注意し、一方由利は深々と頭を下げた。
「私は大川聡子よ。由利ちゃん、よろしくね。」
「よろしくお願いします。」
「大川さん、チーズケーキとミルクティーです。」
「ありがとう。」
大川さんはミルクティーを一口飲み、チーズケーキに手をつけた。それから、由利は大川さんといろいろな話をした。新二と浩一の関係やこの店について、大川さんはよく知っていた。
その一方で新二はカウンター席から会話を聞いていた。あんまり寝てなかったせいか、若しくは浩一に叩き起こされたせいか、あくびが絶えなかった。
二階から足音が聞こえ、着替えた浩一が降りてきた。
「大川さん、お久しぶりッス!」
「まぁ、浩一君。お久しぶり。」
「兄貴、俺は下がるわ。」
「あぁ、お疲れー!」
「お疲れ様です…」
由利は場の空気に合わせて言った。チーズケーキを食べ終わった大川さんはミルクティーを飲み干した。
「じゃあ、浩一君が来て早々だけどこれで失礼するわ。」
「有難うございました。」
「お釣りはいいから、頑張って頂戴。」
「いつもありがたいッス大川さーん!」
「いいのよ。じゃあ由利ちゃん、また今度ね。」
「はい、ありがとうございました。」
再び鈴の音が鳴り、大川さんは店から出た。
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