お見舞い

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いつもならもう登校している時間に来ない竜弥を沙織は心配になっていた。 「神流月、休み?」 「…わかんない」 「そう」 「遅刻じゃない?」 「それはないよ。 竜弥は遅刻しないから」 (…言い切った) (‥‥そんなに心配なのかねぇ。神流月も罪な男だ、こんな可愛い子を心配させるなんて) 友達と話していると担任が教室に入って来て友達は慌てて自分の席に着いた。 「チャイム鳴ったら席に着け」 「は~い!」 「ごめんなさ~い」 「…ったく」 担任が出席を取り、特に連絡はないので今日のHRは終わる。 「今日は神流月が休みか。じゃあ、終わり!」 HRが終わると沙織は担任に駆け寄る。 「先生っ!」 「…どうした?」 「竜…じゃなかった。 神流月くんは休みなんですか?」 「あぁ、さっき連絡があって風邪ひいたそうだ。 母親から休ませるって連絡が来てな」 「…そうですか」 「あぁ。じゃあ、授業頑張れよ?」 「はい」 担任が出て行き、沙織は自分の席に着いて隣の空席を見た。 小さなため息をつき、元気のない沙織に友達が励ましていた。 「風邪ならよかったじゃん。事故ったわけじゃないんだから」 「ちょっと、縁起悪いこと言わないでよι」 「ごめん、ごめん」 活発な黒髪のショートヘアの女の子、相澤由香。 茶髪の緩くパーマのかかったふわりとしたロングヘアのお姉さん系の優しそうな雰囲気の飯島玲奈。 沙織はいつもこの2人と一緒で中学校からの仲良しだ。
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