『緑色の液体』

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深夜というのに親友の佐々木卓也から俺、沢村康太に電話がかかってきた。とても眠かったので、電話には決して出たくはなかったが、電話嫌いの卓也から電話がかかってるくることは珍しく、しかも深夜ということもあったので、電話に出た。 「もしもし」 「聞いて驚くなよ」 開口一番にそう言われ、嫌な予感が脳裏を駆け巡る。不良の同級生がバイクを乗り回し、事故に遭ったか?それとも誰かが車にはねられてしまったか?大丈夫かな?生きているのかな? そんな恐ろしい展開を想像しつつ俺は尋ねた。 「どうした?」 「実は…実は俺…本当に聞いて驚くなよ?実は俺…手から緑色の液体が出てきたんだよ!」 「どっちの手から?」 俺は即座に尋ねた。なぜなら、もしここですぐに電話を切ってしまっては、せっかく電話してまで冗談を伝えようとした卓也に何だか申し訳ないし、かといって緑色の液体が出てきている事実を納得するするのも腹立たしかったので、質問責めにして相手に降参させたかったからだ。 「右手」 しかし、卓也も即答した。畜生。
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