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夕方、近くの土手に来いと木村からメールが来ていた。
私と木村は家が近所でおまけに小、中、高、同じ学校に通っている典型的な幼なじみだ。
まるでどこかのラブコメみたいな設定。
そんな設定に感化されたのか、私は中学一年生の時に木村のことが好きになった。けれど、幼なじみの関係を壊したくなかった私は、木村からの告白を待つことにした。
というか、私には分かっていた。木村も私のことが好きだと。
しかし、木村も私と同じで幼なじみという関係を壊したくなかったのか、とうとう高校二年生まで告白されることはなかった。
けれど、ついにその日はきた。
『ちょっと近くの土手に来てほしい。話したいことがある』
こんな文章のメールがきた。木村とはしょっちゅう遊んでいたが、土手に呼ばれたのは初めてのことだった。私の頭の中で素敵な妄想が始まる。
夕方の土手→告白。
木村「よっ。まあ座れよ」
私「もう、何よ話って」
木村「実はな…俺、お前のことが好きなんだ」
私「えっ…(驚いたフリをする私)でも私たちただの幼なじみ…」
木村「もう、ただの幼なじみじゃ嫌なんだ」
(ここで抱きしめられる)
「キャピー!」
妄想で幸せの絶頂に達した私はそう叫ぶと、案の定、隣の部屋にいた母から「うるさい、ダメ娘!」と叱られた。
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