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帝は疾走を続けながら、襟元にある通信機に向かって話す。
「叢本(むらもと)班長、聞こえますか?」
「こちら叢本。総帥、どうされました?」
叢本と呼んだ男はキビキビとした口調で返してきた。
帝は口角を上げると、手短に訊ねる。
「メールにあった街についたのですが、魔物の正体は?」
「は? あの場所には三班が向かったはずですが……」
「私が来ています」
「ええっ!? おい、三班共は何をしてやがる!!」
途中から誰かに怒鳴っている叢本。
「なにい!? 送信ミスだと!?
馬鹿野郎!! 総帥様自らが出向いて下さってるんだぞ!!
――――すみません、総帥。手違いで三班に送るはずのメールが総帥の所に届いた様で……」
「ああ、それは構いません。
それより、緑王要(りょくおうかなめ)を送って下さい。
彼なら人を誘導できるでしょう」
「了解しました」
通信が切れると、帝は走るスピードを上げる。
血の臭いがきつくなってきた事が心配で、自然と眉間に皺が寄る。
「下位や中位の魔物であれば良いのですが、悪魔が絡んでいると厄介ですね……」
――――急がなければ……。
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