暴れる子供は、御仕置きが必要ですね

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「おい要!! 総帥がお呼びだぞ!!」 叢本は声を張り上げ、要の部屋の戸を叩く。 すると、ゆっくりと扉が開き、内気そうな顔が覗く。 短い黒髪に、深緑色の目は、宝石の様に美しい。 歳は十五歳くらいだろうか。 「……なあに、叢本さん……」 「だからっ、総帥がお前を呼んでるんだって!! 学園に近い街で敵が暴れ回ってるから、お前に人を誘導してほしいそうだ」 「……帝が呼んでるのなら、行く……」 ちょっと待っててね、と言って一度部屋の中に引っ込むと、要は一通り身支度を済ませ、再び部屋から顔を出す。 「……出来た……」 「準備出来たのなら早く行け!! 時間が無いんだ!!」 「……うん、分かった……」 要は目を擦りながら部屋を出るが、すぐに壁にぶつかる。 「お前……それでも一班の隊長か!! それでも総帥の右腕か!! ああん!?」 「……いてて……」 焦る叢本とは対照的に、のんびりと頭を撫でる要。 危機感というものが感じられない。 「……あれ、俺何しに行くんだっけ……」 「だああああっ!! とにかく外行け!! 転移しろ!!」 「……はーい……」 手を上げて答えると、要は窓を開け、いきなりそこから飛び降りる。 叢本は驚いて窓から身を乗り出すと、空中で魔法陣を開き、転移していく要の姿が見えた。 「まったく、あいつは……」 叢本は目にかかる金髪を掻き上げながら、自分の仕事場に戻って行った。 .
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