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叢本と要が一悶着あった頃、帝は異形のものと対峙していた。
「あなたが、街の皆さんを殺したんですね?
見た所、悪魔の様ですし……最悪です」
溜息をつくと、目の前に居る赤黒い肌をしたもの――――悪魔は、背後に従えている魔物を撫でながら笑った。
「この大陸はもともと俺達の住処だったんだ。害虫であるお前等人間を殺したって、文句はないだろう?」
「確かに、後から入って来たのは我々です。
ですが、仲間を殺されて黙っていられる程、私達人間は優しくありません」
仮面の下で微笑むと、悪魔も合わせる様に笑う。
「ふーん。あんた、面白いね。
ちょっと興味湧いたけど、すぐに消え失せた。
最後に名前くらいは聞いてやるよ」
「私のですか? そうですね、仕事上の名前は……」
いっそう仮面の下の笑みが深くなる。
それに、悪魔が気付くはずもない。
「――――白衣の戦神と申します」
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