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途端、悪魔の顔色が変わる。
「白衣の戦神って……お前――――!!」
「おやおや、貴方の様な下位の悪魔でも、私の名を御存じで?
それは光栄です」
胸に手を当てて微笑むが、悪魔には見えていない。
ただ目の前の敵が恐ろしくて、逃げる事だけを考えていた。
「腰が引けていらっしゃいますが、大丈夫ですか?」
「!!」
一瞬で目の前に移動して来た帝に驚き、悪魔は魔物を盾にして後退する。
「なんでお前がこんな所に居るんだよ!!
お前は普段、ランクの高い仕事しか出てこないって……!!」
「間違えて私の所に連絡が入りましてね。
折角ですので、暴れる悪い子供に御仕置きをしてから帰ろうと思いまして。
――――さて」
ゆっくりと剣を持ち上げ、悪魔を見下ろす帝。
その動作の一つ一つが美しくも恐ろしい。
「ベッドへ御戻りなさい」
蛇に睨まれた蛙の如く身動きが取れない悪魔は、限界まで見開いた目で帝の姿を脳に焼き付け、魔物と共に塵になった。
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