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だが、急に開いた保健室の扉によって、要は突き飛ばされる。
智哉が慌ててキャッチしたので、怪我は無かった。
「なんだよ危ないなあ」
智哉が扉に目を向けると、そこにはお弁当を抱えた女生徒が数人、帝を囲んでいた。
「白銀せんせっ!! 一緒にご飯食べましょうよ!!」
「ランチルームから見える雪景色、綺麗ですよ~!!」
どうやら帝目当てらしい。
毎度の事ながら、帝は困った様な表情をしていた。
「せっかく誘って下さっているのに悪いのですが、私は仕事がありますので、今日は……」
「白銀先生、いつもそれ言ってるよ? 今日も今日もって」
女生徒の一人が頬を膨らまし、上目づかいに帝を見上げる。
――――……はあ、面倒です。断っても立ち去ってくれないのは、何故でしょうね。
「本当に申し訳ありません。今度、仕事がない時に是非」
「え~、でもぉ」
「――――おい、お前等」
開けっぱなしだった扉から声がして、男子生徒が顔を覗かせる。
鋭い目つきで女生徒達を見下ろし、一言、
「邪魔」
と言った。
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