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要が頷いた事に満足したのか、桐生は椅子に腰かけて船を漕ぎだす。
「黒菱君、机に足を乗せないで下さい。
それ、私の机です」
「別に良いだろ」
「よくありません」
帝は溜息をついて来客用のソファに腰を下ろすと、カップに注いだコーヒーを飲む。
「白銀先生、コーヒーばっかり飲まないでご飯を食べて下さい、ご飯!!」
青羅は持参した弁当を帝の前に置き、眉を吊り上げる。
帝は観念して橋を握ると、立ったままの要と智哉に笑いかけた。
「お二人も、どうぞこちらへ。私一人では食べ切れませんので、一緒に如何です?」
「あ、俺まだ気持ち悪いから、遠慮しておきます」
「……俺、食べる……」
要は紙皿を手に向かい側のソファに腰かけると、帝が分けてくれたおかずやおにぎりを静かに頬張る。
「黒菱君、何か飲む?」
相変わらず船を漕いでいる桐生に青羅が問い掛けると、桐生は小さく「コーヒー」と言った。
「皆さん、最近授業の方はどうです?」
帝の問いに、智哉が少し考えてから答える。
「今は模擬戦闘とか中級魔術まで習っています」
「そうですか。もうそんな所まで習っているんですね」
帝は頷きながら、要を見やる。
「緑王君、授業の方はどうします?」
「……模擬戦闘の方は大丈夫。
中級も、多分平気……」
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