暴れる子供は、御仕置きが必要ですね

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普段、氷の鉄壁の仕事で帝の右腕をしているだけあって、彼の戦闘能力と魔術の才能はトップだ。 だが、仕事が多忙すぎて学園にはなかなか出て来れず、学園側には病弱というイメージがついてしまった。 「要、よかったら俺教えるよ?」 智哉は自分自身を指さして首を傾げる。 要は卵焼きを頬張りながら、首を振った。 「……大丈夫。なんとかなる……」 「緑王君、せっかくですし教えてもらってはいかがです? 友達の輪を広げるチャンスですよ」 「……」 要はしばらく悩み、帝と智哉の顔を交互に見つめた後、小さく頷く。 「……うん、そうする。智哉、宜しく……」 「うん。こちらこそ宜しく」 「それなら俺も付き合うぞ」 それまで船漕ぎをしながらコーヒーを飲んでいた桐生もソファに加わり、要の首に腕を回す。 「……え、桐生さんはいい……」 「はあ!? 何言ってんだよ、お前!! これでも俺、学年主席だからな!?」 自分自身を指さして憤慨する桐生を困った様に見つめ、要は目線を泳がす。 「……俺、大丈夫だから。家でも勉強してるし……」 「要はつれないなあ」 桐生は大袈裟に溜息をつくと、時計を見上げる。 「おっ、もうすぐ予鈴が鳴るぞ。 智哉、お前教室に戻った方が良いんじゃないか?」 「あっ、本当だ!! じゃあ、先生、お邪魔しました!!」 「お大事に」 桐生はさぼる気なのか、全員と共に手を振っている。 智哉が出ていってすぐ、桐生は帝の顔を見る。 「で、街の様子はどうなんですか、総帥?」 「大分被害が出ましたが、要が生き残りを避難させてくれました。 あとは叢本に任せて来てしまいましたよ」 食後のコーヒーを口にしながら笑う帝。 桐生は要の頭を優しく叩き、にっこりと笑う。 「やっぱ凄いですね、要さんは。 流石、総帥の弟さんなだけあります」 「……ありがとう、桐生さん……」 .
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