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桐生は残念そうにバットをしまうと、要に標的を移す。
「ところで要さん、あれから奴等は何もしてきてないですか?」
「……うん。桐生さんのお陰……」
「要さんの為なら、何人でも病院送りにしてやりますよ」
「桐生、そんな事したら手を出したくても出し用が無いわ」
青羅のツッコミに、桐生はバツが悪そうに頬を掻く。
「いや、だってよ……。要さんの持ち物に悪戯しやがって、許せないだろ?
だからちょっと体育館裏に呼び出してバッドで……」
「……バッドで、何したの……?」
純粋な瞳で見上げてくる要に、桐生の言葉が詰まる。
――――こんな汚れ無い瞳の人に、あんな血生臭い事は言えない!!
桐生は見事なまでの作り笑顔を浮かべ、要の頭を撫でた。
「いいえ、何でもありませんよ、要さん」
「……なにしたの……?」
「いいえ、何も」
「黒菱君、埒が明きません」
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