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帝はコーヒーを飲み干すと、立ち上がって保健室を出て行こうとする。
「総帥、どちらへ?」
「ちょっと校内を見回ろうかと。
黒菱君も来ますか?」
「暇だし、ついていきます。要さんはどうしますか?」
桐生が首を傾げると、要は緩やかに首を振った。
「……俺、いい。此処で昼寝する……」
桐生は少し残念そうだったが、先に外に出ていた帝に駆け寄り、歩いていった。
「――――最近、魔物の出現が増えている様ですね」
廊下を歩きながら不意に訊ねると、桐生は重々しく頷く。
「上級の悪魔こそ出ていませんが、村が焼かれたり、人が殺されたり……被害は大きくなっています」
「せっかく学園に出席出来ているのに、仕事が増えれば出席もままならなくなりますね。
……すみません」
帝が立ち止まって頭を下げると、桐生は両手と首を激しく振り、慌てる。
「そんなっ!! 総帥が謝る必要なんてありませんって!!
氷の鉄壁の構成員が本業で、学生なんて総帥の護衛で入っただけなんですから!!
気にしないで下さい」
「本当ですか? でも、君は木下君と仲良くしていたじゃないですか。
彼、大事な友達なのでしょう?」
すると、桐生の表情が暗くなった。
「――――ガラの悪い俺を、あいつだけは普通に扱ってくれた。
皆が怖がっている俺に優しくしてくれた――――友達、です」
「でしたら、黒菱君が出来る限り学園に来れる様にしますね。
君も普通なら学生として生活している身なんですし」
そう言って笑うと、桐生は嬉しそうに笑って、頭を下げた。
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