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放課後。
帝は要を桐生達に預け、独りで指定された体育館裏に向かっていた。
要が義理の弟だという事は、生徒達には伏せてあるので、ばれない様に処理しなくてはならない。
「いじめなどとは、なんとも醜く幼稚な行いを……。
それも、私の大切な身内にするとは、容赦はしません」
周囲にどす黒い気を放ちながら歩いていると、早速女性教師が声を掛けてくる。
「あっ、白銀先生。今夜一緒にお食事でもど」
「すみません。少々急いでおりまして」
呆気にとられている女性教師の横を通り過ぎ、指関節を鳴らす。
女生徒が帰りの挨拶を掛けてくるが、笑顔で応対する事もなかった。
「――――……帝ってさ、目を細めて笑う時、大抵怒ってる時なんだよ……」
不意に呟いた要に、桐生と青羅は目を丸くする。
「要さん?」
「……帝、大声で笑ってたから、相当怒ってる。何しに行ったのかな……」
「さ、さあ……?」
チョコを頬張る要を見つめ、桐生と青羅は顔を青くする。
――――考えたくもない……。
二人は同時に、同じ事を思った。
構成員が傷付けられて憤怒するくらいの帝の事だ。身内の事となると……。
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