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私はさっそく友達の由美子にこないだある女性に会ったことを話した。
由美子の母親は美容室を経営していたが美容師仲間に私の父の家の近くに店をだしている人がいるらしく、何か知っていることはないか聞いてみたのだ。
由美子は首をかしげながらこう言った。
『とりあえずその美容室に行ってみない?』
由美子は私にはない行動力がある。
私はいつも明るくて天真爛漫な由美子が好きだった。
数カ月後…私は由美子と由美子の母親と三人でヘアモデルをするという名目でその父の家の近くにある美容室に行ってみた。
この近くに私の父親が住んでいる…
私はなんだかドキドキした。
世間話をしながら私は美容師さんに聞いてみた。
『この近くに岩間さんって住んでますか?』と…
『うん。いますよぉ』
『私その岩間さんちの娘なんです。今は離婚してるんで別に住んでますけど』
私は質問しながら美容師さんから返ってくるこたえを聞くのが怖かった。
今まで自分の中に封印していた父の話をするのは母に悪い気がしていた。
美容師さんは母が義母と仲が悪くいびられていたことや、父が今は再婚して再婚相手との間に子供がいることなどたくさん話をしてくれた。
パーマをかけ終えた私に美容師さんは、
『お父さんの家見に行ってみる?』
と質問を投げかけた。
『はい』
由美子に背中を押され、私はついYESの返事をしてしまったのだった。
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