呼ぶ声

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私が見る夢に出てくるのが実の兄だと確信してから、以前にもまして夢をみる頻度が多くなっていった。       …私は何もできぬまま、何をしたらよいのか自分に何ができるのかわからず月日だけがただ過ぎていった。    短大に進学してからは通学の電車の中でのうたた寝でも兄が出てくるようになっていた。     このままではいけない… 兄が私を必要としているのだ。 兄を助けてあげられるのは私しかいない… そんな使命感にも似た感情が私の中に渦巻いていた。 お兄ちゃんを捜さなきゃ…私は気持ちだけが焦っていった。 実際今どこにいるのか誰もわからない状況で兄をみつけるのは不可能に近いことだったからだ。
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