再会

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再会

地元の女子高に進学した私はその女子校で1番人数の多かった合唱部に入った。   もともと唄うことが大好きだった私には最高に楽しい部活動だった。   三年生のとき最後のコンクールに出発するため駅にいた私に声をかけてくる人がいた。 歳は…どうだろう…私の祖母と同じくらいかそれよりも下くらいの女性だった。   『紘美ちゃん?』   見ず知らずの女性に突然名前を呼ばれた私はとても驚いたのだがつい   『はい』   と返事をしてしまっていた。   その女性は私のことを懐かしい人にでも出会ったかのような目で見つめていた。   『随分大きくなったねぇ。こうやって見てると本当にお父さんとお兄さんにそっくりだねぇ』   …えっ?   どうやらその女性は父の近所に住んでいて私の顔をみただけであのとき母親に抱かれて父の家を去った娘だとわかったらしい。   まったく記憶のない私はきょとんとして言葉を失ってしまった。   その後、その女性は父はすでに再婚していること、父親と兄の仲があまり良くないこと、兄は今高校を卒業したあとで家を出て行方がわからないことなど忙しく話したあと足早に去っていった。   兄が行方不明? その言葉を聞いた私はなんだか急に兄に会ってみたいという衝動にかられたのだった。
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