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ハジはリューに対する罪悪感を忘れることはなかった。いつも心の中にしこりのように居座り、夢に現れては飛び起きた。
「なぜ、なぜ俺に謝って死んだ」
(急にあんなことを言って困らせてしまったからね。アジクには謝っていなかったから)
リューはすまなそうな顔をしてハジの頬を撫でる。
「もう少し俺がお前のことを考えてものを言えば、そうすれば……」
また涙するハジを抱き寄せてなだめながら、リューも涙を流す。
(もういいんだ。僕はもう煩わしい苦しみから自由になった。何も無ければ、精霊としての役目も後何日かで終わる。そうしたらまた命として大地に産み落とされ、僕は生まれ変わる。また会えるよ。もう少し待ってて……)
リューはハジの頬に掌を添え、二人は涙に曇った瞳で見つめ合った。リューはハジの額に口づけする。そして、軽く唇に、頬に。ハジは少し躊躇った後、思い切って自分から口づけした。
(僕はお前に恋した。愛した。幸せだったよ。お前と狩りに出たり、とても楽しかった。だから、自分を責めるな。ただ、忘れてしまったら少し悲しいかな)
「忘れるわけがない。忘れないよ。待ってる」
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