128人が本棚に入れています
本棚に追加
賑やかな街から離れ、木々が鬱蒼と生い茂った薄暗い森の中。
あと数分もすれば、東の山の麓から日の光が顔を覗かせるのか、木々の切れ間から見える空は徐々に白み始めている。
そんな森の中を一人の男が、流れるような軽い足取りで走り抜けていく。
男の背中には鞘に収められた長剣。
森の薄暗さで顔は分からないが、風を受けてなびくローブを身に纏っている。
男は木々のないひらけた所まで来ると足を止める。
彼の目の前には三人の男が座って輪をつくっていた。
男達は山賊のような格好で、ローブの男に気がつくと自分の剣を片手に立ち上がる。
山賊の男達のリーダーなのか、髭を生やした男が口を開く
「アンタ、何者だ?」
「三人……ハズレか」
ローブの男は呟くと背中の長剣を抜く。
「燃え上がれ、フィアンマ・ブレイド」
長剣の刃を赤い焔が包み込む。
最初のコメントを投稿しよう!